05/04/21

今は流れます
待つことなく流されてゆきます
過去に残された記憶は消されます
あとかたもなく終わります
けれどそれもまた
永遠のかたちではないかと思うのです

05/04/20

死ぬのはいやだ
死なれるのもいやだ
どうかみな
元気でありますように
地球のどこかの殺し合いが
湖面のさざ波のように消えますように
偽善と甘えと無意味なことば?
いや
ことのはに宿るたましいは
まだ、力を持っている
何ができるかわからないときでも
何ができないかは問題じゃない

05/04/19

私を形作ってくれるものを占う
一日一日を石に刻み込むように
楔を打ち込むように

letter#3, 05/04/18

傷口の痛みは雲に紛れました
今は乳白色の霧がたちこめています

letter#4, 05/04/17

やるせない未練は夕焼けに燃えました
けしずみが夜空にともることでしょう

05/04/16

いつまでもあったかいのは きみのからだだけ

future, or the obscure possibility, 05/04/15

手のひらのすじは複雑に絡み合う
けれど一つの交点から辿れば必ず幾筋かが見つかり
場合によっては数多の流れが言葉を持たず語りかける
すごろくのように進み方を選べない確定性が脈を打ちながら沈着してゆく

past, or the form of eternity, 05/04/14

振り返る道は奇妙に短い
望まなくともどこまでも伸びるようでいて
曖昧で薄明な物語は必ずしもつながりを持たない
形而上となった河の流れは進みつづけるひとつの点に無限に集まりゆく

now, or the begining point, 05/04/13

旅立ちの朝は自然と早起き
雨戸の隙間から漏れる光がすでに爽やかで
開け放つ窓に誘い込まれる風は静かに私を包む
起点から放射状に広がるこれからの道が日の光のようにどこまでも染み渡る

05/04/12

ボタンを押せばともる光がどれだけ完璧か、
蛇口をひねれば溢れる水がどれだけ上出来か、
呼びつければ参上する救急車がどれだけ愛か、
道のおばあさんを助ける若者がどれだけ正義か。

どこかで死に行く人々に思いを馳せる私はどれだけ道徳で、
目の前の患者を実験台に使い倒す医者の卵はどれだけ非道徳か。

05/04/11

紅の実
蒼の実
翠の実

全ていつまでも熟れない実

そして木はただ実をつける

完熟待たずに朽ちるのでなく
もぎ取られたくて未熟の果実

枝のカーブに露たたえる葉
虹色ひとひら目に焼き付いて
根を見つめれば闇の影
芽を失った悲しみに
永久の香りを漂わす

朽ちない実を付け
木は凛と立つ

05/04/10

ときを刻むことを覚えたひとびとは
刻まれたときの中で
こなごなに
砕かれる

05/04/09

傷だらけのあたしを見て
どんなに傷ついているか
そして哀れみの眼差しを頂戴

05/04/08

群れる羊雲
傍に飛行機雲
きっと子供の夢を運んだ跡
行き先はタイかインドか

ああ僕は東京
アスファルトに蜃気楼

歩道の自転車避けながら
排気ガスは麻薬味

まだ四月にも関わらず
八月の風にそよぐ鉛のカーテン
そんな陽がこの地に強く
影を落として突き刺さる

05/04/07

心の動きが緩慢だ。
墨汁に染まった綿あめが 胸の奥底に居座って、扉をきつく通せんぼ。

05/04/06

午前三時に眠る町中、信号機だけが律儀にともる。
雲に隠れて見えない月は、けれども晴れを予報する。

05/04/05

月の青い眼差しが僕らを照らす。
君の白い手は流星を弦にした矢を放つ。
決して冷たくないけれど、芯から熱いわけじゃない。
軌跡はどこまでも気まぐれで、黒い大洋は呑みこむすべを知らない。
僕はとっても好きだから、せめて見つめて追いかける。

05/04/04

外套は脱ぎすてて 薄着いちまいで出かけて
陽の光に当たって 昨日の死を溶かしてもらって
気まぐれ風に吹かれて 明日への海図をもらって
においたつ土くれを感じて 確かな今をもらった

05/04/03

猫を膝上に乗せたまま
僕は机にうつ伏せ寝

外は時雨ているけれど
僕は自由に海水浴
猫は浮き輪につかまって
パラソルめざして猫泳ぎ

05/04/02

あると思った束縛なんて
ないと思えばどこへも消えろ
キツくしばられていたことなんて
嘘だと思えばほんとになくなれ
足かせ手かせは幻で
受け身の昨日が旅立ちの明日

05/04/01

僕がなくなれば世界は廻るのをやめるだろう
だって 世界は僕の中にあるのだから

05/03/31

入れ子構造、中身のない玉葱、出口が迫ってくる迷路、螺旋階段

05/03/30

断定は繋ぎ止めるための手段だと思う。

05/03/29

自身を見たメデューサは固化した。
メデューサは終わりを迎えることに成功した。
自身を見た人は変容した。
ぎこちなさに嫌悪しながら写像が砕け散るのを見た。
けれど終わりは来なかった。
新しい始まりが迎えに来た。
人はいくつもの迷路を巡ることになった。

05/03/28

着込んだ鎧は、じつはからだなのかも知れず、からだは、じつは世界なのかも知れず、境界を引くことに、何の意味があるのか知れない。

dust in the memory, 05/03/27

塵のような記憶の断片でも、集めれば今日を生きる確かな足跡となるはず

05/03/26

ときの流れは早いと言うけれど
たぶん目に見えないからそう感じるんだろう

それを機械で刻んで見得たと思えても
ときの本当は雲みたいに不定だから

空が不思議と美しいことと同じに
ときは そこにあるだけでいい

A free pallet of the sky, 05/03/25

あまりに近すぎてもう言えなくなった言葉を覚えているか?
当り前にそこにあるように思っているとすぐに流れて行ってしまうものを知っているか?
繋ぎ止めようと思ったのに、陽炎のようにあやしく揺らめいて消えてしまったことはあるか?

何にも代えがたいものは、心の奥底に眠っている。
無くすまで判らないそれは、一体何だろうか。

今日の空は、何色だろうか?

05/03/24

耳障りの良い音楽を鳴らすコンポ
明るく手元を照らす蛍光灯
壁には洒落たポスター
どこかへ繋がる携帯

それでも
だから
どうしても

何もない
溢れてる

寂しい

05/03/23

返事のない言葉。宙に浮き意味を作れず惑う言霊。

05/03/22

芯から溶ける 蜂蜜が流れ出す 骨は中空になる 肉が燃え盛り 神経は舞踏する 沸き上がり 溢れ出て 灼熱が 甘く切なく 焼き尽くす ふたつの身体が織り成す ひとつの閉じた時空間

05/03/21

何もない空が薄い色で寂しい
風は北よりの乾いた冷たさを運び
味気ないアスファルトは限りなく荒涼と敷かれている
辿ってゆけば どんなに弱くとも世界は 繋がっている

05/03/20

氷のような冷たさは何を含むのか

05/03/19

きれいなものを求めている
そんなすがたは見せるものじゃないと考えている
けなげなんて言葉は反吐が出るし
私自身いつも思うより強い

弱さが敵と考えるわけではなくて
うまく折り合いって奴がつけば良いんだけど
ふつうそうはいかないのが人生だとも心得ている

05/03/18

きりきり
僕を締め付ける君の鎖
そして消え得ない日常のしがらみ

玄関の扉が開けば義務だらけの愛に窒息して
アルミの扉が開けば人の波に飲まれる

そんなふうでも
たぶん、幸せ

05/03/17

ゆらゆら
私は私を思わなくとも
ゆらぐ世界の中で私にさせられる

05/03/16

言葉の引出しには小人が住んでいて
私の気持ちを覗き見ては 何かしら適当な言葉を渡してくれる

でも気に入らない組み合わせを提示してくるときもあって
そんなときは遠慮なく叩き返してやるの

すると焦って引出しをさがし直すんだけどね
いちどやり直しさせると 何故だか"どつぼ"って奴にはまるみたいなのよ

何度でも何度でも
そうするうちに小人はついに疲れ果ててしまうから


05/03/15

私のことを想ってくれる?
私のことだけを想ってくれる?
いつまでもいつまでも想ってくれる?

そんなことあるわけないひとときの夢なのに
それとも幻だからこそなのだろうか
こんなに惹かれるなんて

05/03/14

科学は全能じゃありえない
直感で分かってたことが、科学自身の手で確かめられた
不完全性定理、不確定性定理なんてカッコイイ名前でね

けど科学の思い上がりは全然解消されてないみたい
だってね、今度は「不完全だからこそ、『完全』に無限に近付けるんだ」って言うんだよ

05/03/13

混乱

弱い犬ほどよく吠えるとか
アイデンティティに危機感を覚える人ほどよく表現するとか
それは怖さや危機の感受性が強いとも言えるわけで

控えめなこととか
はみ出して主張を続けるレジスタンスだとか
一概に何かが格好良いわけじゃないし

単に感じないのと
繊細に感じても表に出さない
出すしかたを知らない 分からないのと
表面的な違いは無いわけだし

考えはどこまでも深くなるけど
出てくるものは螺旋階段のようにくるくる繰り返し
結局直感が正しいの とか言いたくもなる
ただ大切なのは
物語られるときどう思えるかだから
いつでも謙虚にいればそれで幸せ

そんなことじゃなく
私は

05/03/12

人生をまっとうできる気がしない
今までも後悔したことがないほど適当に生きてきたし
少しばかり感受性が強いからか 表現に関心を抱いてやってきたが
それで何かに開眼できたわけでもない

このあと今までの四倍生きて潰えるなんて
分かるような分からないような
とにかく実感は湧きようがないし

ただただ日々は過ぎていって
このまばたきのように断続する意識で
いつのまにか数十年が過ぎたんだなんて思うようになる

明日でさえ曖昧模糊なのにそんなこと
想像つくわけもない

05/03/11

普遍はどこにもなくて 異端が普遍だということ
生きることに意味は無くとも 意味のあるところに生きているということ
死なない理由は見つからなくとも 死ぬ理由を探しに生きて行けるということ
私が私でないところに 世界とのはざまがゆらいでいるということ
真実のことのはは 静かに語られるということ

05/03/10

たとえばこの網戸を通してみても
無数の四角い窓からのぞく世界は
確かにやはり 世界であって

今は全てがあまりにまぶしくても
くもりの無いものを求めすぎては
見開きくらむ 私が目である

05/03/09

ありきたりを壊すのがありきたりになるのは
一回微分が二回微分になっただけ

変化だとか差異だとか 相対主義におぼれる今の人
知ったことじゃない

類型化の枠を外すしかたがまた類型化
終わりの無いいたちごっこは続いてる

だから何なのか?

知ったことじゃない
それより今を生きたい

耳を澄ませば吐息が聞こえて
瞼を上げれば愛しさが見えて
手を伸ばせば暖かさに届いて

無機質に生きるから有機質に救われる
心には青い炎がともってる

05/03/08

何ゆえに まもりたいのか? 僕のために まもりたいのだ
弱いのは 誰なのか? みんながみんな 弱いのだ

05/03/07

何か鋭く黒いもの つかめる気がしてこの僕は
手を 手を 伸ばすのだけど
少し 少し あと少し
必ず空を切りさいて
むなしく過ぎる 指先の風

05/03/06

詩とか何だとか 創ったものを ぜったいカテゴライズしなきゃならないなんて
バカみたいだと思わない?

05/03/06

ことばの海に身を任せてみると 思わぬつながりが澄み渡る空気にすいこまれる
ときに消されぬよう それを書き留める

つながりはつながりを生み
今度はときを味方につけてつよくなる

05/03/06

増えたらここに、足してゆくつもり。
© アクリル明日香 2005-2007

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